腎がんなんて俺の人生に何の関係もないと思っていた

平成30年に腎がん(腎臓がん・腎細胞癌)が発覚してから、僕の治療と生活と仕事の記録

【がん本レビュー】最初に読む系の2冊

シーズン2に入る前に少し話題を変えて。

腎がんと判明してから、関連の本を7冊ほど読んだ。たぶん今後も増えていくと思う。ここではそれらのレビューというか、内容を簡単に紹介しつつ感想などを記録していきたい。

各レビューの「評価」では、「面白かった度」「役に立った度」「おすすめ度」という観点で、★五つを最高点として点数化した。「面白かった度」は、単純に読み物として面白かったかどうか。「役に立った度」は、僕自身にとって役に立ったかどうか。おすすめ度は、他人に読むことを薦められるかどうか。ご参考まで(あくまで僕個人の評価)。

まずはじめに、僕が「がん」と判明した直後、とりあえず全般的な知識を身につけなければ!という思いで読んだ本を2冊。いわゆる「最初に読む系」。

『がんを告知されたら読む本』谷川啓司著(平成30年11月読了)
  • 面白かった度:★★★★
  • 役に立った度:★★★★★
  • おすすめ度 :★★★★★

タイトルどおり、告知されたら最初に読む本としてよく書かれていると思う。「現代における」がんという病気およびその治療について、最新トピックを交えながら網羅されており、読めば一通りのち知識は手に入る。かつ、文章は読みやすくわかりやすいのでサラッと読める。僕の場合はこの本を読んだあとに腎がん個別の話について調べるようにした。

網羅的に、と言ったが、特に1章から4章では「がん」というものの特徴について書かれている。がんの怖さ、というべきか。がんは怖いんだけど、じゃあなぜ?がんのどういうところが怖いの?となるとなかなかうまく説明できないし、少なくとも僕は理解していなかった。

例えば「なぜがんで死ぬのか?」などということは、僕もこのブログで少し書いたりしてみた。悪液質とがんの増大など、実はあまり知らなかったりする。他に、なぜがんは治りにくいのか、とかね。

それらの説明の後、後半でがんの治療や、治療にあたっての心構えとか、患者の立場で意識しておくべきこととか、そういった話がなされている。がん治療を進めていく上で、何を目標にすべきか、また様々な指標をどう捉えるべきか。総効率や5年生存率の意味。これらをきちんと理解して、がんと向き合っていくべきだし、僕はそうしたい。そのための入口として適した本と思う。

また、標準治療以外の治療法、代替治療といわれるものについてもよく書かれている。これらに対する知識や考え方をしっかり身につけ、リテラシーを上げて、冷静に、がんと向き合わなければ。

一点だけ、この手の本を読むときに注意が必要なのは「いつ出版されたか」。がんの治療法に関する研究は日進月歩であり、2、3年前だともう情報が古い!ということになることも。本書は2015年9月発行で、僕が読んだ時すでに発行から3年経過していたので、例えば「免疫チェックポイント阻害剤」に関する話は、少し情報が古い(2018年9月にはオプジーボとヤーボイ併用療法が腎がんに適用拡大されている等)。その点は踏まえた上で、出版時以降の情報をネット等で押さえていく必要がある。

 

『がん研が作ったがんが分かる本』公益財団法人がん研究会監修(平成30年11月読了)

面白かった度:★★★
役に立った度:★★★
おすすめ度 :★★★

この本も位置づけとしては「最初に読む系」。がん研究会(以下、「がん研」)が監修しており、がん研有明病院の医師13人が、得意分野ごとに各章を執筆するという体裁を取っている。そのため、上の「がんを告知されたら読む本」に比べると、全体を通しての一貫性や、一冊でまとまって訴えかけてくる点においては劣る。ただ個別のトピックについては専門の医師(しかもがん研の)が書いているだけあって詳しいし、口腔ケア、ホルモン療法など「がんを告知されたら〜」では取り上げていないようなトピックもある。個人的には口腔ケアに関する話題は皆知っておいた方が良いと思う。

また、「医療従事者の行動原則を知る」という切り口は面白いし、患者として知っておくべき内容。医師が、どのような思考プロセスや基準に基づいて患者と接し、話をしているのか。それを少しでも知ることは、医師と患者相互のコミュニケーションを円滑にするし、何より我々患者の利益につながる。一読の価値あり。

難を言えば、監修かつ執筆ががん研なので(仕方のないことかもしれないが)、全体通してがん研のの紹介というか宣伝?が多い。その点気になる場合はスルーして読むことをおすすめする。

 

以上、僕の独断および偏見で書いだものの、好みによるところも結構あると思うので、その点は各自ご判断を。