腎がんなんて俺の人生に何の関係もないと思っていた

平成30年に腎がん(腎臓がん・腎細胞癌)が発覚してから、僕の治療と生活と仕事の記録

入院生活

入院した日にステロイド剤(プレドニゾロン150cc)を点滴投与したものの、夜の時点ではまだ頭痛と吐き気は収まらず、ロキソニンを服用してなんとか眠ることができた。

そして翌朝。目覚めると、頭痛が劇的に収まっている。完全に、というわけではないが、それでも昨日の痛みに比べれば大したことはない。吐き気も、これは頭痛に伴って生じていたもので当然ではあるが、同じく治まっている。ステロイドの威力を見せつけられた瞬間である。

食事は、朝食から少しずつではあるが取り始めた。昨日全く食べていないので、胃が驚かないように少量ずつ。プレドニゾロンは前日と同量で150ccである。この日も妻に来てもらい、入院に必要な物品を揃える。着替え、歯磨き、洗顔用具、暇つぶし用に本や雑誌、タブレット等々…

翌23日の木曜日になると、もはや頭痛、吐き気ともに全くない。忘れていたが筋肉痛も感じない。食欲も通常に戻っていて、言ってみれば「通常モード」に戻った感じだ。ただこれはあくまでもステロイド剤を投与しているから、ということを忘れてはいけない。この日も前日と同量で150ccのプレドニゾロンを点滴投与した。食事は、初めは食べられなかったこともあって病院食をお粥にしてもらっていたのだが、それもこの日から普通食に戻す。

朝の回診にて、K先生より今後の治療について説明を受ける。いわく、今はステロイド剤の点滴で副腎の機能を元に戻している状態。この薬の量を徐々に減らしていき、途中で点滴から飲み薬に切り替え、それでも大丈夫かどうか様子を見ていくとのこと。飲み薬で大丈夫となれば退院ということだ。目途として、減薬していくのは7日から10日程度かけて、ということであった。すなわち、およそそのくらいの入院ということになる。

なお、この日(23日)は、本来であればオプジーボ点滴の日であったが、副作用がここまでひどく発症してしまっている状況ではできるはずもなく、スキップとなる。副作用が治まってステロイド投与がなくなれば再開できる、と思うのだが、ちょっと不安である。

翌24日、プレドニゾロンの量が80ccとなる。一気に半分近くまで減らしたことになるが、特段の体調変化はなし。80ccを二日間続けた後、さらに60ccまで減らしてまた二日間投与するが、これでも体調変化はないので、10月28日より飲み薬になる。飲み薬のプレドニゾロンは1錠が5mgで、これを8錠、つまり40mgを服用する。普通の薬だと、点滴よりも経口薬は吸収率がだいぶ落ちてしまうが、ステロイド剤に関してはそれはないのだそう。ただ効き始めるのに、点滴に比べて少し時間がかかるということだ。とにかく、この飲み薬で様子を見て問題なさそうであれば退院できるはず。

入院中の生活だが、今回は手術の時とは違ってダメージが少なく、というよりステロイド投与により復活してからは普通に元気になってしまったので(もちろんそれはステロイドを入れた仮の元気ではある)、だいぶ暇を持て余す。よって今回こそ、未読本の消化と、タブレットで映画もしくは海外ドラマに勤しむことにする。なお、僕は元々テレビをあまり見ない。スポーツ中継、ニュース、大河ドラマと朝ドラくらいだ(大河ドラマは今年限り)。だから病院おなじみのテレビカードもあまりなくならないのだが、今回に限っては、ラグビーワールドカップ浦和レッズの試合など観たいものが多かったのと毎朝の朝ドラ(スカーレットね)と大河ドラマ(いだてん、ね)によって、割とテレビカードを消費した。

それから、入院で体がなまってしまうので、入院四日目から筋トレとウォーキングを始めた。筋トレは腹筋・背筋にスクワット、その後のストレッチまで。ウォーキングは、病院内のコンビニを何回も往復しつつ、なるべくエレベーターを使わず階段で登り降りしたりして一日3千歩以上歩くことを目標にした。相部屋なので、筋トレする時は音を立てないように注意。

食事はすっかり食べられるようになって、毎回完食だ。ここの病院食はなかなか美味しくて、食事は入院中の大きな楽しみである。プラスアルファで太らない程度に、コンビニでおやつを買ってきて食べる。

なお、手術の時は病院が自宅からすぐのところにあったのだが、今回はドアツードアでおよそ一時間ほどかかる。よって、家族に来てもらうのもなかなか大変だった。もちろん妻はちょくちょく来てくれていたし、一度は娘が一人で来てくれた。その他、母親や義父母も来てくれたのだが、やはり入院中は人と喋らないので人恋しくなっていて、誰かが来てくれると、それはまあよく喋るね、俺。

仕事の方はもはや仕方ないので任せてあり、時々、状況伺いとこちらの報告を兼ねてメールや電話、またはLINEで連絡をしていた。

とにかく、飲み薬で一日二日様子を見て、問題なさそうなら退院だ。が、実は飲み薬に変えてから、うっすらと頭に違和感を感じることがあった。痛むというほどではないが、痛くなる前兆のような軽い違和感で、すぐに治まってしまう。K先生に伝えたところ、ステロイド剤を軽いものに切り替えた際には少しそのような違和感は出るかもしれないとのこと。まあ、それも含めて様子見ということか。

29日も、前日と同じくプレドニゾロン40mgを服用し、特に問題はないので翌日退院となる。翌30日、一応朝イチで血液検査を行って、各種値が問題ないことも確認できたので、無事に退院となった。

K先生の話から、今回の副作用は自分的にはものすごくつらかったのだけど、そこまで重篤なものではないという認識のよう。確かに、ひどい頭痛ではあるがステロイド剤を投与すれば元に戻るし、対応手順は確立されているのだろう。こういったことを考えると、やはり実績・症例が豊富な病院に転院して良かったなと思う。

計10日間の入院。久々のシャバの空気である。職場復帰したら仕事がんばるぞ!と思いを新たにしたのはいいが、これだけでは終わらなかったのだ。