腎がんなんて俺の人生に何の関係もないと思っていた

平成30年に腎がん(腎臓がん・腎細胞癌)が発覚してから、僕の治療と生活と仕事の記録

再び、入院生活(前編)

11月3日の日曜日、退院してから三日後、全身に皮疹が出て再度入院となってしまった。

再入院した日は、ステロイド剤(プレドニゾロン)80ccを点滴投与して様子を見る。相変わらず痒みはないのだが、夜になると皮疹がひどくなっている。発熱はないものの、皮疹が出ているところに熱感があった。

11月4日 月曜日(再入院2日目)

この日もプレドニゾロン80ccを点滴。皮疹の状況はあまり変わらない。回診で、泌尿器科の別の若手医師であるI先生いわく、「オプジーボとヤーボイの併用の場合に、皮疹が副作用として割と出ているようです。まだ併用の場合のデータが少ないのですが。ただ、やはり症状が出ている人の方が薬が効いているという印象はあります。効果と副作用は表裏一体という感じです。」

副作用の状況としては、とにかく「スティーブンス・ジョンソン症候群」につながる粘膜系の症状が一番心配で、懸念点はそこだけだが、ステロイド剤を入れながら様子を見ていくしかない、とのこと。

夜、熱を計ると37.5度、微熱があるのが気になったのだが、翌朝には下がっていた。

11月5日 火曜日(再入院3日目)

プレドニゾロン80ccの点滴を行う。皮疹は少し軽くなってきている。回診にて、少しずつステロイド剤を減らしていくが、反動が怖いので一週間から10日くらいはかかる、とのこと。当初見込みよりも時間がかかりそうな感じだが、僕自身、副作用がぶり返して再入院となってしまったこともあって、急激な減薬は避けたいところ。仕方ない。

今回は皮疹、すなわち皮膚症状ということで皮膚科の受診を指示されていて、この日に受診した。それを受けて、夕方の回診時に主治医である泌尿器科から今後の治療について説明を受けたのだが、皮膚科医と僕の主治医すなわち泌尿器科医では、異なる見立て・判断となった。

最初に皮膚科を受診したところ、皮疹はそこまでひどくはないとのことで、翌日から飲み薬に変えていいとの所見。しかし、その後で病室に来た薬剤師からは「結構皮疹が出てますよねえ…」と言われる。さらに、夕方の主治医(泌尿器科)回診の際、この日はTO先生とTA先生の二名だったが、僕の顔・体を見るなり「やっぱりまだ皮疹は結構出てますね。」。さらに「皮膚科では明日から飲み薬と言ったようだけど、まだ同量の点滴で良いのではないか?」、「無視しちゃうか?」と二人。結局、「明日また話し合いますが、もう一日、点滴でいきましょう。」とのことになった。

たぶん、皮膚科医はあくまで僕の現在の皮膚症状から判断しているのだろう。ただ、僕のこれまでの経緯、一度ステロイド剤を軽くした後に副作用が振り返したことなどは、考慮していないかもしれない。主治医である泌尿器科としては、その辺りの事情も踏まえて、飲み薬に切り替えるのは時期尚早、ということなのかと思う。

もう一つ、そもそも皮膚科医に見てもらった段階では、皮疹の症状が少し軽かったから、ということもあるかもしれない。そのために皮膚科医の所見が軽めになったのかも、ということだ。

なお、皮膚科受診時、診察室に入ると、医学部の学生が勉強のために何人かいたのだが、女子医大なだけに全員女子大生であった。さすがにその場所で裸になることはなかったのだが、ちょっと緊張してしまった(笑)。

11月6日 水曜日(再入院4日目)

プレドニゾロン80ccの点滴を行う。この日から、少しずつ皮疹の赤身が引いてきた。その分、元々持っているアレルギー性じんましんの症状が出始める。こちらは痒い。見た目上はどっちも赤いので紛らわしいが、自分では判断がつくので、医師に見せる際に自ら説明。

回診にて、確実に入院当初よりも軽くなっているので、もうしばらく点滴を入れていきましょうとのこと。また、もっとステロイド剤を多く入れてもいいのだが、それをすると減らす時の反動が怖いので、ということである。

11月7日 木曜日(再入院5日目)

プレドニゾロン80cc点滴。皮疹は、午前中は軽くなっているが、夕方遅めの時間になると赤くなってくるようだ。それでも当初よりはかなりましだと思う。

回診にて、明日もう一度皮膚科を受診してもらって、その後の薬量について検討するとのこと。退院については、今の段階からさらに2段階は薬を減らし、その後に飲み薬となるので、少なくとも今週は厳しく、来週にはなる。飲み薬にして様子を見てから、ということのようだ。

11月8日 金曜日(再入院6日目)

プレドニゾロン80cc点滴。自分で見た感じでは、赤みはかなりなくなっている。

朝の回診にて、K先生より外出・外泊の許可が出る。症状は落ち着いているし、朝点滴をしたら終わりだから、だそうだ。これは正直うれしい。しかも、ちょうど翌日の土曜日に、娘と息子が通った幼稚園の「おやじの会」の集まり(飲み会)があるのだ。娘も息子も、もちろん随分前に卒園しているのだが、在園中に僕は会長を務めていた時期もあって、当時かなり熱心に活動していた。伝統が受け継がれて今も活発らしく、うれしい限り。いまだに父親同士、また園長先生とも付き合いがあって、時々OBとして顔を出したりもするのだ。とてもタイミング良く外泊許可が出たので、顔を出すことにする。もちろん僕はアルコール抜きで。

昼頃、皮膚科を受診。前回とは異なる女性の医師で、僕の症状を見るなり、

「もう皮疹は出てないですねえ。」

さらに腹など体も見せて、

「うん、もう出ていない。普通の状態です。皮膚科としては、ステロイド剤は明日からでも60ccに減らして、三日ほどで30cc、その後また三日で終わりにしてもいい。そのように泌尿器科には伝えます。」

また、

「同じ原因でもっと症状のひどい人を見ているが、かなりいいほうだと思いますよ。ひどい場合は戻るのに三週間くらいかかっています。ただ、決まった手順というのはなくて、様子を見ながら判断していくことになります。もし心配なら、もっとゆっくり時間かけて薬量を下げていくという方法もありますが、早く退院したいですよね?」

それほどひどくないと。なるほど。もちろん早く退院したいに決まってます。

「また、前回で副腎不全をやっているので、その点からもステロイド剤の長期服用は避けたいところです。ステロイドによる副腎不全、というのもあるので。」

そういうこともあるのか。ステロイド、やっぱり怖いのね。

「それから、皮膚科の立場からは、今回の症状が落ち着いた後、オプジーボの再開は勧めません。ですが、これはあくまで皮膚科的な見方としての意見ですし、こちらはがんの治療状況は見ていないので。そこは、がんの方の治療で、よく検討の上でやられていることなので、信頼してもらっていいかと思います。ただ、気をつけたいのは、オプジーボを再開した後、2回目の副作用発生時にはもっと強く出ることがあるようです。スティーブンス・ジョンソン症候群なども含めて。これは皮膚がベロベロに向ける症状のものですが。」

オプジーボ中止は、やっぱり困るな。そして2回目の副作用…怖いが、どうしようもない。覚悟はしていよう。

今回の皮膚科の先生は非常にわかりやすい説明をしてくれ、いろいろ安心できた。来週月曜にもう一度皮膚科を受診するということで、皮膚科を後にした。

夕方の回診でも、皮膚科での説明通りに明日からステロイド剤の量を減らしていくとの説明がある。話を聞きつつ、翌日の外泊許可をもらう。なお、この日は夜になっても赤みはないままだ。