腎がんなんて俺の人生に何の関係もないと思っていた

平成30年に腎がん(腎臓がん・腎細胞癌)が発覚してから、僕の治療と生活と仕事の記録

手術〜②手術直後

気が付いたら、病室のベッドの上。

手術台の上で酸素マスクを着けられ、麻酔がシュッシュッと出てきて、「息苦しい」と思ったところまでは記憶がある。その次が、ベッドの上なのだ。目が覚めて、天井が見えた。途中の記憶は、全くない。

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その時点で、時間は午後1時半くらいだっただろうか?妻に聞くと、手術は無事終了したものの予定より少し長くかかり、4時間あまりだったそうだ。3〜4時間と聞いていたこともあり、9時に開始して12時を過ぎた頃にはちょっと焦り始めたよ、と言っていた。

ともあれ、手術は無事終了した。E先生の話では、危険な状態ではなかったが、確実性を期するため輸血を実施したとのこと。体には何本もの管がつなげられ、手術後の体を保護するためにベッドは通常のものからエアーベッドに変えられていた。

このとき体に着けられていたのは、口に酸素マスク、背中に麻酔、手術痕の下にドレーン、栄養を入れる点滴、指先にパルスオキシメーター(血中酸素濃度を計測する機械)、尿カテーテル。さらに弾性ストッキングを着用している。尿カテーテルなので、もちろんおむつ着用で垂れ流し。出るものがないので、大きい方は出ない。

手術直後のはずだが写真を撮られたことに全く気づかず

手術直後のはずだが写真を撮られたことに全く気づかず

血栓塞栓症を防ぐため、途中から弾性ストッキングに加えてふくらはぎの下に自動で動くローラー的なもの?も置かれた。ふくらはぎマッサージのようなもの。

なお、手術当日は飲食禁止かつ絶対安静とされ、枕も使用不可で、ただベッドに仰向けに寝てるのみである。意識はあり喋れるのだが…妻に話しかけられても返事を返すくらい。こんなにダメージかあるとは思わなかったが、おそらくこれは全身麻酔の影響なんだろう。この後しばらくすると、今度は手術跡の痛み(左脇腹)がつらくなってきた。かなり痛い。背中から麻酔は入れているのにも関わらず、である。ちょっと耐えられないので、点滴で痛み止めを入れてもらう。さらに、手術跡の痛みに加え、動けないこととウォーターベッドの柔らかさが重なり、持病の腰痛がひどいことになっている。二重の痛みで、この夜はほとんど眠ることができなかった。

(ちなみに僕は元々、結構な腰痛持ちである。半年近く前の8月には、重度のぎっくり腰に見舞われて救急搬送されている。全く、自慢にならないのだが。)

酸素マスクと指先のパルスオキシメーターは、この日のうちに外された。

1月10日木曜日(手術から2日目)

手術跡はまだ、だいぶ痛い。食事の方は、おかゆを数口食べたところで腹が痛くなってしまって中断。腹は減るのに食えない、という状況でなかなかつらい。

この日はまだ何もできないので、看護師に体を拭いてもらう。僕の入院中は実習生が一人ついており、一緒に体拭き実習。看護学生、大変だなあ。何もできないので大変助かるが、やはりちょっと恥ずかしいことは恥ずかしい。なお、後で聞いたら彼女はうちの子供たちと同じ小学校出身であった!よく考えれば歳も娘とそう変わらないはず。おそらく娘の小学校時代は被ってるよな…地元の病院はこういうことがあるね。

夜、痛みに加え、背中が非常に痒い。麻酔の固定等にテープを広く貼っているせいで、かぶれているようだ。そこに持病のじんましんもおそらく出ており、つらい痒さである。

(腰痛だけでなく、アレルギー性の慢性じんましん持ち。アレルゲンは調べたが不明。毎日抗ヒスタミン剤を飲み、痒みがきつい時はステロイド外用薬で対応している。これ、理由は不明だが、40歳を過ぎてから発症した。調べたら、どうもそのようなパターンの人が少なくないらしい。)

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1月11日 金曜日(手術から3日目)

朝起きると、痛みはあるものの前日よりはかなり軽くになっている。背中から入れている麻酔が全てなくなり、外してもらう。ドレーンと尿カテーテルも外される(おむつも取れる)。これで点滴以外は全て外れた。移動可能となり、トイレも自力で行けるようになった(これはリハビリの一環でもある)。

まだ痛いことは痛いので、きつい時に服用できるように、飲み薬でロキソニンを出してもらう。夕食はだいぶ食べられるようになった。

手術してまだ二日しか経っていないが、日に日に回復していくことを感じる。管が外れていくとともに、痛みや体の動き具合が日毎に回復しており、人間の体の凄さを、改めて感じさせられる。

 

ここで気付いた重要なことが一つ。手術前の諸々の症状、すなわち発熱、寝汗、夜間の多尿が見事に治まっているではないか。おそらく手術当日の夜から、だ。腎がんを取り去ってしまったら、全てが治ったということか…因果関係としてそのとおりなんだろうけれど、あまりの劇的変化に正直驚くとともに、がんの怖さを実感した瞬間でもあった。

 

この夜はもう一つ、ちょっとした事故があった。夜中の11時頃、トイレに行こうとしてベッドの横で転び、尾てい骨をしこたま打ってしまったのだ。自分としては大したことはないと思ったのだが、当然の対応として看護師は当直医師(たまたま整形外科の医師)を呼び診察。念のためCTも取られるが異常なし。さらに自宅にも連絡をされた(同時進行で妻にはLINEメッセージを入れておいたが)。

状況としては、

  • 片手で点滴スタンドに掴まってベッドサイドに立ち上がり、一瞬手を離す
  • その際、暗かったこともありふらつく
  • 点滴スタンドではない方の手でどこかに掴まろうとしたが、何もない
  • 両手はどこにも捕まっていない状態で、踏ん張ろうとするも、足腰の支えが全く効かず(踏ん張れず)
  • そのまま後ろへ転び、尾てい骨強打

足腰に力がまだ全く入らない状態、であった。先ほど「劇的に回復」なんて書いたものの、手術後三日目ではまだまだということ。

1月12日 土曜日(手術から4日目)

点滴も外れ、手術後初シャワー。爽快。

実はこの日、娘の16歳の誕生日。娘が一人でお見舞いに来てくれた。逆じゃんね。

この頃には、体はかなり回復して来ていた。気を付けながらではあるが、歩く速度もだいぶ戻っており、知人が見舞いに来ても、ベンチに座って普通に喋ることができた。

1月13日 日曜日(手術から5日目)

手術跡はまだ痛いが、ロキソニンを飲んでれば大丈夫なレベル。E先生が回診にて、手術後の経過としては順調とのことで、予定通り16日に退院の方向となる。

1月14日 月曜日(手術から6日目)

散歩がてら、病院内のコンビニにも行ったりしている。コーヒーを買ってベンチに座って飲んだり、お菓子を買ってきてみたり。

以下、続く。